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清流のせせらぎが間近に聞こえる崖造りの酒蔵に足を踏み入れると、澱んだ空気がかすかに動いて、甘酸っぱい果実の香に包まれた。今年仕込んだワインの入ったステンレス製の樽の蓋を開ける。中では、シューッとかわいい音を立てながら、アルコール発酵が進んでいる。その醪をすくって醗酵の具合をみる。辛口でも甘口でもない「旨口」に仕上げるには、ここが肝心!!。
短く香を嗅ぎ、口に含んでみる。酸味、甘味、コク、渋味、苦味、収斂味―― これまでの経験を思い出すようにしながら、これらを感じてみる。醗酵を止めるタイミングは、飲む側の嗜好に合うかどうかを考えてのことだが、それは造る側の勘と経験による技に委ねられているといっていい。一年間の労力が集約される秋、緊張もするが愉しいひとときである。
風土とその年なりの気象、そしてなにより、人の手がおいしいお酒を造ります。 |
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ワイン造りのきっかけは、水戸黄門晩年の隠居地とて知られる歴史の町、茨城県常陸太田市の特産ぶどうをワインにできないか、という農家からの話と、当時でかけたヨーロッパの旅行でした。ワイン文化の本場をつぶさにみて、それまで酒造りで培ってきた技術者としての心が疼いた。ちょうど地酒蔵元の厳しい経営状況に打開の道も探しているところでした。 蔵の前を流れる里川のせせらぎを聞きながら、大吟醸「光圀」をはじめとする地酒を造りつつ、丹念にワインを育てています。 |
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ワインの原料となるぶどうは、欧州種が良いとされてきました。欧州種は夏乾帯の中央アジアが原産地。夏湿帯の日本の風土は成長に不向きなために、多くの労力を必要としてきました。しかし、日本の原生山ぶどうのなかに欧州種でワインに適した品種が見つかり、その交配種ペガールが作られました。裏山に三町歩ほどの自家ぶどう畑を作り、このペガール種などを栽培しています。 |